降臨!神業絵師 伊藤彦造という男


3月最初の日曜日は、寒い雨の降る中、東京都文京区の弥生美術館で開催中の企画展「生誕110年 降臨!神業絵師 伊藤彦造という男」を見に行ってきた。



先週、横浜から帰った後に洗車をしてて気付いたのだが、なんとリアのハッチがボコボコに!
どうやら先日の大雪の時、隣のアパートの屋根から落ちた雪が当たっていたらしい。
なので今日は車屋に行かねばならないのだが、ちょっと時間が余るので気になっていた弥生美術館で開催中の伊藤彦造展を見てから行く事にした。
ちなみに同美術館は東京大学の裏手の「暗闇坂」という場所にあり、あの「竹久夢二美術館」と隣接している。
暗闇坂という名称と竹久夢二の碑がちょっとマッチしていて、夜に通ると怖そうだ。



伊藤彦造は戦前から戦後にかけて活躍した有名な挿絵画家だ。
一刀流の開祖として知られる伊藤一刀斎を先祖に持ち、幼い頃から打ち込んだ剣撃を活かした「絶対的な死の予感」を思わせる作風が、当時の少年達を大いに熱狂させたとのこと。
結構熱い人だったらしく、満州事変の時には憂国の情を訴える為、身体の55箇所を傷つけて出た血で「神武天皇御東征の図」を描いたりもしている。
そのせいで陸軍大将の荒木貞夫に気に入られ、陸軍嘱託として描いた作品も数多く残しており、今回の訪問はそれもお目当てだったりする。

そんな訳で、いよいよ弥生美術館に入館。
ちなみに館内は写真撮影禁止だったので、写真レポートはここまで。



場内は伊藤彦造のデビュー作に始まり、戦前、戦中、戦後の作品を丁寧な解説と共に多数展示していた。
正直、もっとこぢんまりだと思っていたので嬉しい誤算だった。
作品的には今の若い人には受けない劇画調の絵柄なのだが、優れたデッサン力と、荒々しいタッチの中に時折見える「耽美」な部分には大いに惹きつけられた。
特に未完の大作「アッツ島 山崎部隊長」という作品は、大きな屏風に描かれている為か凄まじいまでの迫力で、これだけでも見に来て良かったと思わされたよ。


気が付くとお昼が過ぎており、そろそろ車屋に行かねばならないので後ろ髪引かれる思いで弥生美術館を後にする。
ひょんな事で訪れた伊藤彦造展であったが、謳い文句の「絶対的な死の予感」を感じさせられる作品の数々に、非常に濃い時間を過ごす事が出来て満足の訪問だった。
本日の走行距離 78.1キロ、聴いた曲数 25曲。