こうの史代原画展


今日は調布市文化会館たづくりで開催中の「こうの史代原画展」に行って来た。

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

こうの史代は2004年に広島原爆をモチーフにした「夕凪の街 桜の国」で「文化庁メディア芸術祭マンガ部門」の大賞を受賞した漫画家さんだ。
よく読ませていただいている某ブログでも何度か紹介されており、気にはしていたのだが、何せ最近は全然漫画を読まなくなってしまったので結局読まず終いでいた。
そんな折、調布市で原画展をやっているのを偶然知り、先日のメディア芸術祭での作品を知る興奮をまた味わいたくて、ついつい来てしまった訳である。



会場である調布市文化会館にはお昼に到着。
当日は建物の周囲でフリーマーケットも実施されていたのだが、昼から降り始めた雨で出展者達が建物に非難している真っ最中であった。
そんな人混みをかき分け、早速原画展が実施されている展示室に向かう。
ちなみに入場料は無料だが、写真撮影は出来ないので撮影は入り口だけを。
既に開始から1ヶ月以上経っているせいか、自分が来た時は場内は2〜3名しかおらず、お陰でゆっくりと見ることが出来た。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

会場には「夕凪の街 桜の国」「この世界の片隅に」のカラーイラストや本編の原稿の数々が展示されており、非常に見応えがあった。
特に「この世界の片隅に」は、ちょうど作品のダイジェストとなるようなエピソードを中心に原画を展示してあったのだが、見ている内にどんどん作品世界に引き込まれている自分がいた。
気が付けば主人公の「すず」にすっかり感情移入してしまい、入場から2時間近くの時間が経っていたのであった。



思わず買ってしまった(A5の新装版の方だが)。
朝霧の巫女」の新刊以来、凄い久し振りのコミックス購入だ。
自分以外にもご年配の方とかが結構まとめ買いしていて、「流石だなあ」と思ってしまった。



この作品は戦時中の軍港の街、呉を舞台に主人公の「すず」が嫁入りしてから終戦を迎えるまでの日常が描かれているのだが、ともかくこの「すず」のキャラクターが非常に良いのだ。
なんかこう、ぼんやりとしているんだけど、一生懸命で憎めないというか。現実では絶対いそうでいないタイプだ。
他の登場人物も、戦時中を描写した作品にありがちな陰湿な描かれ方はされておらず、非常に安心して読むことが出来る。
また、呉が舞台なだけに軍艦も様々な艦が登場。なんと「大和」までもが見開きでばばーんと出てくるのである。



さらに、非常に様々な資料をきちんと参考にしているので考察もかなり正確だ。
こんな軍オタが喜びそうな描写も非常に細かく描かれていて、そっちの面でも非常に感心させられた。
直接的な戦争描写は少ないが、それでも後半は後からズーンと来る描写が続き、読んでて辛い部分も多かった。
まだ最後まで読んでいないが、大事に読んでいきたいと思う。



調布市文化会館を後にして、次の目的地に。
ようやく見ることの出来た「こうの史代」作品の原画展だったが、とても強く印象に残り、本当に来て良かった。
原画展の興奮も冷めやらぬ中、帰りの車中でかかった茶太の「たそがれ空」がなんとなく「この世界の片隅に」の世界と重なって非常に心に染みるのであった。
本当は「杉並アニメーションミュージアム」も見るつもりだったのだが、着いたのが4時過ぎだったのでせっかく来たけど寄らずにそのまま帰路に着いてしまった。


で、帰ってからは録画してあった「モーレツ宇宙海賊」を見て、充実の内に1日を終えるのであった。
本日の走行距離 108.3キロ、聞いた曲数 41曲。